Web個展「Biotopia」
発露し育ちゆく 多様な生命のかたちへの祝福
2020年5月に予定していた個展「Baiotopia」は新型コロナウィルスの感染拡大により開催を中止しました。私たちを取り巻く状況が刻々と変わる中、皆様のご健康を最優先したいという想いと、現在の状況だからこそ作ることのできた作品を見ていただきたいと考えて、本展示をWeb上で公開します。作品を通して、今を共に生きる皆様へ何かをお届けすることができましたら幸いです。
コロナウィルスの影響により人との接触を極力減らさなければならなくなったため、私たちの生活はガラリと変わり、しばらくは私も不安に苛まれる日が続きました。それでも、これまでと同じように季節は巡ってきます。日は少しずつ長くなり、渡り鳥は北へ旅立ち、雪が溶けて地面を潤し、川は水を湛え、草木は芽吹き、今では美しい花が咲き乱れて甘い香りがあちこちから漂ってきます。自然の豊かな様をいつもより丁寧に見つめることが出来るようになったおかげで、私も少しずつ今というかけがえのない時間をこれまで以上に堪能することができるようになってきました。
自然の中で、多様な生命たちが活発にうごめく様子を見ていると、現代の人間社会における私たちの暮らしが不自然なものではないのだろうかという疑問を持つことがしばしばあります。本来、人間も含めた生きものとは、命の続く限り成長・繁殖し、成熟し、強く生きる意思を持った存在であるはず。でも残念ながら、私たちの暮らす社会は成長・繁殖・成熟のタイミングを見失い、迷走しているように思えます。私たち自身の多様な生き方を抑制し、自らの成長や成熟を止めて、社会の意図に沿うような形で生きていくことは知らず知らずのうちに自身を傷つけ、他者をも傷つけてしまう。不自然で歪な生きものになりかけた私たちが本来の生の歓びを取り戻すために、これから私たちはどのように生きていけばよいのでしょうか。
今回は展示のタイトルを、生きもの達の楽園という意味で「Biotopia」と名付けました。瑞々しくて有機的なフォルムの生き物たちを私は心底美しく愛おしいと思う。それは私自身の「成長したい」「成熟したい」「生を輝かせたい」「新しいことをしたい」といった内側の声と共鳴して、生きる力を呼び覚ましてくれるからなのだと気づきました。今とは違う形に変化したい、もっともっと成長したい、他とは違った素晴らしい私自身をもっと増やしたい、美しい花を咲かせたい―そんな生きもの達の肯定的な姿を想像して作品を作りました。 私たちが私たち自身の生を全身全霊で歓び合い、不自然さにも打ち勝てる活力を取り戻すことを祈りながら。気づけば様々な抑圧を経て、社会の中でも少しずつ新たな才能が発露し育ち始め、多様な形を望む声も聴こえてきます。このことを祝福して、皆様への挨拶に替えさせていただきたいと思います。
2020年6月5日(金)
古川祐子















※個々の作品の詳細につきましては、こちらからご覧ください。
※作品に関するお問合せにつきましては、お問合せフォームまたはFacebookページのメッセージまでお寄せください。購入をご検討の方には価格表を送付いたします。