個展「Biotopia」2020年6月 ギャラリー犬養(札幌)

■Satement
「Baiotopia 発露し育ちゆく 多様な生命のかたちへの祝福」
この度はご高覧いただき誠にありがとうございます。本展は2020年5月に開催を中止し、6月5日にWeb上で作品を公開しましたが、この度当初の予定より小さな形での開催となりました。作品を通して今を共に生きる皆様に何かをお届けすることができましたら幸いです。
新型コロナウィルスの感染拡大で人との接触を減らさなければならず、生活はガラリと変わったため、私自身も不安に囚われる日々でした。でも例年と変わらず、雪は溶け、渡り鳥は北へ旅立ち、川は勢いよく流れて、草木は芽吹き、今では美しい花が咲き乱れて甘い香りが漂っています。自然の豊かな変化を丁寧に見つめるられる日々を通して、私も少しずつ今というかけがえのない時間を味わうことができるようになってきました。
自然の中で、多様な生命が個々に成長・繁殖し、子孫を残すために活発にうごめく様子を見ていると、現代の私たちや人間社会は不自然なのではないかとしばしば思います。本来、人間も含めた生きものとは、命の続く限り成長・繁殖し続け、命を輝かせて生きていく意思を持った存在であるはず。でも残念ながら、私たちの暮らす社会は成熟するタイミングを見失って迷走を続けているように思えます。私たち自身が多様性を抑制し、成長を止め、他者の意図に沿うような形で生きていくことは知らず知らずのうちに自身を傷つけてしまいます。不自然で歪な生きものになりかけた私たちが本来の生の歓びを取り戻すために、これから私たちはどのように生きていけばよいのでしょうか。
今回は展示のタイトルを、生きもの達の楽園という意味で「Biotopia」と名付けました。瑞々しくて有機的なフォルムの生き物たちを私は心底美しく愛おしいと思う。それは私自身の「生を輝かせたい」という内側の声と共鳴して、生きる力を呼び覚ましてくれるからなのだと気づきました。今とは違う形に変化したい、もっともっと成長したい、他とは違った素晴らしい私自身をもっと増やしたい、美しい花を咲かせたい―そんな生きもの達の肯定的な姿を想像して作品を作りました。 私たちが私たち自身の生を全身全霊で歓び合い、不自然さにも打ち勝てる活力を取り戻すことを祈りながら。気づけば様々な抑圧を経て、社会の中でも少しずつ新たな才能が発露し育ち始め、多様な形を望む声も聴こえてきます。このことを祝福して、皆様への挨拶に替えさせていただきたいと思います。
Furukawa Yuko



本個展に先行して開催したWeb個展「Biotopia」についてはこちらをご覧ください